LIFE-HEART MESSAGE
『名刺』の美学
Life-Heart Message  2007.10.17.(3)


本人いわく、自分は頭が悪くて大学を追い出され、金銭登録機の会社のセールスマンに
なったが、商品が売れず思案に暮れていた時の事である。
ある日、ふと、五円玉の稲穂のデザインにヒントを得て、五円玉を金色で箔押しした
丸い名刺を自前で印刷会社に注文。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」の至言と「ご縁を大切に」をモットーに、セールス活動に
スパートをかけた。
上司に知れて「使うな」と注意を受けたが従わなかった。

この強烈な名刺、彼にとって起死回生剤となり低迷セールスマンにサヨウナラ、6ヶ月目に
レジスター月間販売台数128という社内のトップのレコードを作った。
そして一年後、この名刺がご縁で銀座で独立する運命になる。

天地91ミリ、左右55ミリの紙を縁結びの神様とし人生を開拓した人がいる
“唐木 宏”氏は「セールスの決定的瞬間は最初の10語にある」と言ったエルマー・
ホイラーの名言を通して、名刺こそマンツーマンで行われる伝達の最大のメデアだと言う。

1,000枚の名刺を使って、三井銀行の神話を作った和田充市氏(大阪西成区天下茶屋
支店長席係)は、預金獲得のセールスに奔走していた頃、なんとかして名だたる松下幸之助氏に
一度面会しなんとか預金獲得をしたいものだと毎日念じていた。
松下電器は住友系でライバルの三井の勧誘員が会えるわけはなかった。

しかし和田さんは名刺を持って日参、まず守衛さんに「何回来てもムダだ」と断られる。
それでも日参、置いて帰った名刺が400枚になった時、守衛さんが社内に入れてくれた。

しかし、まだ受付で断られたが、「ぜひ、社長さんにお教えをこうむりたい」と用件を
伝えて置いて帰った名刺が、またまた400枚になったところで受付をパス、
やれうれしやと思っていると、まだまだ秘書室という関所があった。
「前回、断ったのにまた来たのか」と叱られながらも、ここでも一日も休まず日参しつづけ
200枚目の名刺を置いて帰ろうとした時、秘書が「どうぞお入りください」と言って、
和田さんを社長室に招じ入れてくれた。

この日まで、彼は1,000枚の名刺を使ったが、大変な感激があった。
松下さんが預金口座を開いてくれたのだ。
松下さんも、口には出さないが内心「君の熱意に負けた」と思われたに違いない。
名刺を通じて和田さんの人柄と心が通じたことが成功に導いたのではないだろうか。

「一葉交勝ニ千金」研けば武士の刀にも匹敵する名刺を、もう一度見直してみては・・・
印象に残ったマザーテレサの名刺に印刷された文に“沈黙の果実は祈り、祈りの果実は信仰、
信仰の果実は愛、愛の果実は奉仕、奉仕の果実は平和”love is action−

未来創庵 一色 宏