LIFE-HEART MESSAGE
『UNISON』の美学
Life-Heart Message  2008.05.26.

音楽用語に「ユニゾン」がある。
総じては「調和」という意味のハーモニーと同意であり、
別しては、「斉唱」「斉奏」「和声」「和音」を意味するものである。
我々各自が音楽に喩えるとコンダクタであり、また演奏家の一人かもしれない、
さながらオーケストラにおいて、同一の曲であっても指揮者により、
その表現(演奏、演出、翻訳)は多様である。しかも、演奏メンバーの
個性、経験、専門とする分野の多様さ、その各自なるパートの奏でる楽の音の総和は、
さながらポリフォニー(多声音楽)としての「ユニゾン」であるといえる。

それは、対位法であるとともに「多くの個性の総合」としてのポリシンセシズム
「多総合性」を、我々の対話の場、交流の場、談笑の場、うたげの場としての
「人間関係のユニゾン」でありたいものである。

今、文明世界は、本来の自然界・宇宙界とは対照的に年来さまざまな不調和が著しい。
自然対人間の関係、人間対人間の関係、社会対個人の関係においても、
相互に亀裂が生じている。
しかも文明はテクノロジーの加速的な進歩によって人間自身の肉体と精神を弱め、
しばしば両者を分断しがちである。

関係性の分断は、産業界と経済界にあっても顕著である。
生産業と流通業のアンバランス、生産と資本の運用の相互摩擦、農業的価値と
工業的価値のインバランス・・・・そして企業対個人にあっては会社的人間と
市民的人間とが両立し合うことの難しさ。
人間の良心と進歩の二律背反的な関係・・・・・。

これを今日の事情に照らせば、スペシャリスト対ゼネラリスト、テクノクラート
対アーティスト、科学者対文学者(優れた個性的能力を持つ人対勝れた全体観を持つ
組織人)はもとより、卓越した個性対秀れた個性、組織対組織人、第一人者対第一者・・・・
等々の対話と交流、および相互性と関係性が、今後の文明世界の健全化のためには、
いかに重要であろうか。

一切の事物との因果関係と相互作用による総合的生成において、善と悪、高徳と堕落、
利他心と利己心の間で戦う人間の能力に切実さを付加するのである。
人間が発語し、思考し、行為することも、いかなる思想や行動も、
それなりの結果を伴うものである。----当座の結果と究極の結果、見る結果と
見えぬ結果、感じられる結果と感じられぬ結果の違いはあるが、現実とは、
相互作用による総合的な必然の帰結の重要さにほかならない。
叡智というものも、その中身を尋ねれば、この事を先取りしたもの、
あるいは未来から見たものである。ただし、これにも、善と悪の両面がありうるのだ。

ノーマン・カズンズ氏は言った、『合理的哲学と、宗教的信念と、科学的知識と、
個人的体験と、直感的感性との、すべて持ち寄って、一つの有機的全体にしていく
文化が必要である』と・・・・知性と良心の、知識と経験の、内なる本質と外なる世界の
調和的統合に向かっていく漸進的な発展こそが必要なのだ。

『一人でも宇宙と合一する高位の理想、一人では全一とはならぬ宇宙の現実』
ゆえに---UNISONが大切なのだ!!


未来創庵 一色 宏